【声劇ショート企画】必殺仕事人風台本1 『男仕掛け』

▼作者

Danzig様

▼登場人物

・お竜(女性)

・左之助(男性)

▼シナリオスタート

(人を殺す女)

お竜:ふぅ、一丁あがり
   へへ、ちょろいもんだね

お竜:は!

(ひとの気配に気づき、物陰に身を隠すお竜)

お竜:誰だい!

(物陰からゆっくりと現れる男)

左之助:お竜(りゅう)、ひさしぶりだな

お竜:なんだい、左之助(さのすけ)かい
   驚かさないでおくれよ
   なんであんたがここにいるのさ

左之助:なんでだと思う?

お竜:さぁ、知らないね
   私に金でもせびりにきたのかい

左之助:違うな

お竜:じゃぁ、何だってんだい

左之助:おめぇ、随分と節操もなく仕事をしているようだな

お竜:あぁ、金が欲しいからね。

左之助:それだけか?

お竜:いや、違うね
   私は殺しが楽しいのさ

左之助:ほう

お竜:何か悪い事でもあるのかい?
   憎い奴を殺したいって人間がいて、
   それを私が代わりに殺してやる。
   まったく、いいことづくめじゃないか

左之助:まぁ、それが俺たちの仕事だからな

お竜:だろ?
   それがどうしたってんだい

左之助:だがおめぇ、関係ねぇ奴らまで殺してるそうじゃないか

お竜:あぁ、そういう時もあったかね  
   なぁに、ついでさ
   それが悪いってのかい

左之助:悪いかどうかなんて俺にはわからねぇ
    だがな、
    俺たちの稼業(かぎょう)は、どっぷり殺しに染まっちゃいくが、
    殺しに酔うやつは、始末がわるい

お竜:へー
   始末が悪いから、私を殺る(やる)ってのかい
   あんたの正義ってやつで

左之助:いや、俺にそんな正義はねぇ

左之助:俺はただ、仕事でここに来た。
    昔のよしみだからな、声をかけさせてもらったのよ

お竜:そうかい・・・仕事かい
   で、私はいくらで殺されるんだい

左之助:弐朱(にしゅ)だ

お竜:なんだい、私の命はたったの弐朱(にしゅ)かい、
   それっぽっちじゃ死んでも死にきれないね

左之助:人を殺すほど、てめぇの命は安くなる
    それくらい、お前だって分かってるだろう

お竜:あぁ、そんな事は分かってるさ
   それにしても随分と安くなっちまったもんだねぇ

左之助:こういう仕事をしてるとな

お竜:そうだ、あんたに私が稼いだ百両やるよ
   それで、私の前に先にその依頼人を殺しておくれよ

左之助:それが叶(かな)わぬ稼業だって事も分かっているはずだ

お竜:あぁそうかい・・・相変わらずだね
   それで、あんたは私を殺れるのかい

左之助:あぁ、俺は仕事をしくじった事はねぇ

お竜:そんな事じゃないよ
   昔惚れあった女を殺(や)れるのかいって事さ
   そんな女を殺したら、ずっと後悔することになるよ

左之助:昨日の事を気にしてちゃ、とても生きちゃいられない稼業さ
    心配するな、明日になりゃ、お前の事も忘れてるだろうさ

お竜:あぁ、そうかい、わかったよ
   殺れるもんなら、やってみるがいいさ

左之助:あぁ

(お竜を手に駆ける左之助 ※殺し方は任せます)

お竜:う・・・・

(息絶えるお竜)

左之助:お竜、地獄は寂しいかもしれねぇが
    俺もそのうち、野垂れ死ぬことになるだろうからな
    少しの間、向こうで待ってろよ

左之助:明日にはお前の事も覚えちゃいないだろうが
    今日のところは、昔のお前を思いだして、酒でも飲む事にするよ
    じゃぁな

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