【声劇ショート企画】クアトロ

▼作者

てまり様

▼登場人物

・プリマ  女性 ヴェルノを兄と慕い、止めるため追ってきた少女 【マスター】

・ヴェルノ 男性 教会を飛び出した、冷静な青年 【マスター】

・トゥン  男性 言葉遣いの丁寧な少年 プリマの【ウェポン】

・エスタ  女性 男勝りで口の悪い女性 ヴェルノの【ウェポン】

▼シナリオスタート

エスタ: あーららぁ。案外早かったじゃねーの

トゥン: 当然です。僕が君の足跡を見紛うはずないでしょう?

エスタ: あははっ!足跡、ねw

ヴェルノ: やめておけ。揚げ足取りは、品が無いぞ

エスタ: へーへーすいませんでしたぁ~。んで?やるんだろ?

ヴェルノ: 無論

エスタ: へへっ・・・そーこなくっちゃな・・・

トゥン: プリマ、心を落ち着かせて。覚悟はいいですか?

プリマ: 大丈夫よ、トゥン。あの時から、私の気持ちは変わってない。ヴェルノ・・・いえ。兄さんを止めるのは、私

エスタ: あんなに真っ直ぐ見つめちゃってまぁ・・・ここまで来ると、ブラコンも笑えないぜ?

ヴェルノ: 未だに俺を兄と呼ぶか

プリマ: 当然でしょう?何があっても、あなたは私の兄さんで、私はあなたの妹よ

ヴェルノ: 笑わせる。血のつながりなど、どこにもないではないか

プリマ: だとしても!私はずっと兄さんを尊敬してた。聡明で優しかった兄さんに、何が起きたっていうの?

ヴェルノ: それ自体が幻想なのだ。「雪解けの様に清らかなヴェルノ」。その言葉が、いつも俺を急(せ)き立てた・・・。

プリマ: ・・・どういうこと?

ヴェルノ: お前は知らなくて良いことだ

トゥン: 雪の女王

ヴェルノ: ・・・何?

トゥン: 僕らの育った教会というのは、表向きの姿。実際あれは、とある高名な科学者の立ち上げた研究施設でした。目的は「人と武器の融合」。無知な子供に人体実験と洗脳を行った

プリマ: 何の話・・・?世界には『ウェポン』の素質を持った人が何人もいて『マスター』との契約によって力を発揮することが出来るって・・・

エスタ: そんな夢物語信じてんのかよ。救えねぇなぁ?ホントに「人」が「武器」になれるとでも思ってんのか?

プリマ: だって、あなただって現に・・・

エスタ: だーからぁ!研究だって言ってんだろ。アタシもトゥンも、元々はただの人間だよ。お互い孤児なのは違いねぇけどな

プリマ: そんな・・・。それじゃあ、あなたたちは・・・

トゥン: 素材ですよ。『ウェポン』の為のね

エスタ: ・・・チッ。胸糞悪ィ・・・余計なこと思い出させやがって

トゥン: そして僕らを集め、武器化研究を行っていたのが、この研究の第一人者「雪の女王」。ヴェルノさんの、実のお母様です

エスタ: ひでぇ話だぜ。何も知らねぇ実の息子を洗脳してよ。『マスター』の資格があるとかなんとか嘯(うそぶ)いて、てめぇの実験の手伝いさせてやがった

プリマ: ・・・兄さん

ヴェルノ: ヤツは、子供を洗脳し、エスタたちのような『ウェポン』を量産して、自らに従順な戦争のための軍隊を作ろうとしている

プリマ: そんなことって・・・。でも!それを周りの人に伝えれば!

エスタ: だからお花畑かって。誰も信じねぇよ、んなこと

トゥン: 残念ながら。信仰の厚いこの国では、教会を否定したところで、誰も相手にはしてくれません。それどころか、異端児として極刑もあり得る

ヴェルノ: だからこそ、大元を絶たねばならん。それを邪魔するのであれば、容赦はしない

エスタ: ヴェルノはアタシらみたいなのを増やさないために動いてんだ。それを邪魔するってんなら、アタシも武器としての役目を果たさせてもらうぜ?

トゥン: 僕はヴェルノさんとは違う道での解決を望んでいます。だからこそ、あなたに付いてきた。さぁ、決断を

プリマ: ・・・わかった。私も兄さんの行動には賛同できない。だからこそ、ここであなたを止める!

ヴェルノ: かかってこい。『凍てつき燃ゆれ。氷炎(ひょうえん)の刃』

プリマ: 『さえずり羽ばたけ。実りの竪琴(たてごと)』

全員: 『秘武展開(ひぶてんかい)! ディフォルマジオーネ!』

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