【声劇ショート企画】今日も博士は失敗する

▼作者

危険生物かれん 気まぐれ 男性様

▼登場人物

・ナナ

・博士

▼シナリオスタート

ナナ:「私は最先端AI搭載アンドロイド 個体名ナナ」

ナナ:「これは、私の生みの親である博士の記録である」

ナナ:「今日も博士は失敗する」

博士:「ふむ」

ナナ:「博士」

博士:「どうした?ナナ」

ナナ:「これで何度目の失敗ですか?」

博士:「失敗の数が100を超えてからは数えなくなってな」

ナナ:「これで、181回目です」

博士:「そうか!もうすぐで200を超えそうだな」

ナナ:「めでたい事ではないですよ?失敗は」

博士:「何を言ってるんだい?ナナ」

博士:「発明に失敗ほど目出度いものはない!そうだろう?」

ナナ:「その度に作り上げた研究所を爆発させてたら身が持ちませんよ?」

博士:「そう…だね」

ナナ:「…まだ、諦めてないんですか?」

博士:「あぁ…私は、まだ、諦めてないよ」

博士:「必ず完成させてみせる!最後の人類として!」

ナナ:「博士」

博士:「なんだい?」

ナナ:「博士って…大馬鹿ですよね?」

博士:「研究者にとって、それは褒め言葉だよ?ナナ」

ナナ:「先生は…そんな人だった」

博士:「さて…新しい街に着いたね」

ナナ:「人類の生存反応は…今回も確認できませんでした」

博士:「そうか…残念だ」

ナナ:「博士以外の人類が消えて50年は経ちました」

博士:「そうだね」

ナナ:「諦めないんですか?」

博士:「いや、諦めようがないんだよ」

ナナ:「何故ですか?」

博士:「あの日を何度も思い返しても人類が消えるだけの出来事があったとは思えない」

ナナ:「…けど」

博士:「きっと、消えたのは私なのだろう」

博士:「あの世界で居場所を作らなかった私を見て、気まぐれな神様が意地悪か慰めを抱きこの場所へ押し込めたに違いない」

ナナ:「そうでしょうか?」

博士:「なぁ、ナナ」

ナナ:「何ですか?博士」

博士:「この先には…どんな町があるんだい?」

ナナ:「この先は…」

ナナ:「私達はこんな旅を50年続けてきた…50年」

ナナ:「それは私にとってはあっという間で」

博士:「私にとっては長い旅だったよ」

ナナ:「博士…今日で182回目の失敗です」

博士:「そうか」

ナナ:「博士」

博士:「ん?」

ナナ:「博士は…何を作ろうとしてるんですか?」

博士:「何だと思う?」

ナナ:「分かりません」

博士:「本当にかい?」

ナナ:「何でそんな事を言うのですか?」

博士:「ずっと、疑問に思ってた事があるんだ」

ナナ:「何ですか?」

博士:「なぜ、85歳になっても私は研究を続けられるんだろうか?と、ね」

ナナ:「それは」

博士:「私が他の人より健康体だから…違うだろう?」

博士:「この世界の私は精神的な存在だから…何だろう?」

ナナ:「いつ気づいたんですか?」

博士:「もう一度、君を作ろうとして182回目で辿り着いた。私の答えだよ」

ナナ:「遅いですよ。博士」

博士:「あぁ…けど」

博士:「183回目は成功しそうだ」

ナナ:「それは誰の為に作られるアンドロイドなのですか?」

博士:「正確には私が書き上げるのはAIプログラムと彼女の設計図だ」

ナナ:「博士」

博士:「これは…君の為に作ったアンドロイドだ」

博士:「ナナ…お誕生日おめでとう」

ナナ:「博士」

博士:「何だい?」

ナナ:「私の誕生日は先月です」

博士:「…そうだっけ?」

ナナ:「やっぱり博士は…大馬鹿者ですね」

ナナ:「記録再生終了…スピカ」

ナナ:「これが、貴方のお父さんの記録ですよ」

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