【声劇ショート企画】赤い天使と白い悪魔

▼作者

耕一様

▼登場人物

・神木竜一(かみき りゅういち):公安警察の警部(31歳)

・天草茉美(あまくさ まみ):神木の部下(30歳)

▼シナリオスタート

天草茉美:神木さん、こんな所に呼び出して一体何の用ですか?

天草茉美:ひょっとして例の件…

神木竜一:ここは君のような亡霊がいるべき場所ではない。大人しく手を引いてくれないか?

天草茉美:何のことですか?

天草茉美:亡霊とか手を引いてくれとか、私にはよく分かりませんが…

神木竜一:俺の部下になりすまし、機密情報を持ち出す算段だったようだが、ここは我々のエリア。

神木竜一:そう易々(やすやす)とトップシークレットを拝ませるわけにはいかない。

天草茉美:なりすましだなんて……。

天草茉美:私は正真正銘「天草茉美」本人です。

天草茉美:警察手帳だってここに…

神木竜一:彼女を殺して奪い取ったんだろう?

天草茉美:そんな事あるはずないじゃないですか。何を根拠にそんな事を仰ってるんです?

神木竜一:数日前、彼女につけたGPS発信機が東京湾上で消息を絶ったのにも関わらず、君が今こうしてここにいる訳。納得のいく説明ができるか?

天草茉美:それは…実は発信機がついたコートを何者かに盗まれてしまって……。

天草茉美:恐らく盗んだ犯人が金目の物だけ抜き取って捨てたんじゃないかと。

神木竜一:ほう、そうか。

神木竜一:少し前に報告があったんだが、君の車に付いた指紋と警視庁のデータベースに登録されている君の指紋が一致しなかったそうだ。

天草茉美:何かの間違いじゃ…

神木竜一:それに、彼女は発信機の存在を知らないはずだが?

天草茉美:っ!?

神木竜一:話を合わせようとするあまり、墓穴を掘ったな。

神木竜一:彼女を失ったのは我々にとって大きな痛手だが、彼女の死を無駄にする訳にはいかないんでね。

天草茉美:ふっ……ニッポンの警察もなかなか優秀なのね。

神木竜一:これくらいの事で感心されるとは、我々も随分舐められたものだな。

神木竜一:さぁ、その変装を解いて素顔を拝ませてもらおうか。

天草茉美:動かないで。

天草茉美:私の正体を知る者は誰であろうと生かしておく事はできないわ。

神木竜一:無駄だ。例えここで俺を殺せたとしても、君がこのエリアから逃れる事はできない。

天草茉美:あら、それはどうかしら?

神木竜一:かなりの自信だな。

神木竜一:それなら取り引きをしよう。

天草茉美:取り引き?

神木竜一:君の所属する組織の情報をこちらに提示すれば、今回の件は不問とする。

神木竜一:もちろん組織が君の命を狙うような事があれば、我々公安が全力で君を守ろう。

神木竜一:どうだ?全て話す気になったか?

天草茉美:はぁ、がっかりさせないで。

天草茉美:私がそんな薄汚い司法取引にのるとでも思ったのかしら?

天草茉美:さぁ。血に飢えた狼達がやって来る前に、あなたを可愛い部下の元へ送ってあげるわ。さようなら。

0:銃声

天草茉美:はぁはぁ……うぐっ!?

神木竜一:亡霊は亡霊らしく……。

天草茉美:どう…して……。

神木竜一:消えてもらおうか。

0:間

神木竜一:後は任せた。

神木竜一:準備は怠るなよ。敵は想像以上に厄介だ。

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