【声劇ショート企画】死んだ飼い猫を庭の墓に埋めた飼い主と死んでも気ままな猫の落ち着く話

▼作者

真野ショウタ様

▼登場人物

・A

・B

▼シナリオスタート

A:「中学の頃なんだけどさ。俺、雨の日に告白したんだ」

B:「どうしたの? 急に」

A:「俺、間が悪いんだよ。嫌なタイミングで……ああ……、こんな感じに降ってくる」

B:「あ、雨だ」

A:「まだ振らないかなって思ってたらいつも振り始めちゃうんだよな」

B:「最悪じゃん」

A:「最悪。その時もこんな匂いがしてた。知ってるか? ペトリコールっていうんだよ、この匂い」

B:「まあ、匂いは嫌いじゃないけど」

A:「なんか落ち着く匂いなんだよな」

B:「でも、濡れるのはやっぱり最悪。さっさと移動したら?」

A:「……傘でも差しとくか」

B:「背中濡れてるじゃない。何してんの?」

A:「雨の日ってさ」

B:「うん?」

A:「やっぱり落ち込むけど、この優しい匂いがあるなら、それでも不思議と優しくなれるんだよな」

B:「なんで変な顔してるの?」

A:「俺が告った女の子の結婚式の時も、お前が庭で倒れてた時も不思議と優しい気持ちのまんまだった」

B:「ねえ、早く家に戻りましょうよ」

A:「悲しいと優しいって似てるのかもな」

B:「はやくー」

A:「小さいお墓でごめんな。じゃあな」

B:「疲れてそうだし帰ったら一緒に昼寝するのよ。一緒に寝るのよ。あんたの匂い、不思議と落ち着くんだから」

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